February 13, 2007

On My Load 第46話


ヒートは部屋に入るとすぐにノートにペンを走らせる。

それはまるでがちゃがちゃで当たりのおもちゃがでた

子供のように無我夢中でピタゴラスの定理を

解くかのようにキーワードを書き並べては、

切り張りして残ったパッションだけパズルする。

思考回路がビートニクスする。

ピアノを叩きながら無から有を生み出す。

アドレナリンが言霊を欲する。

タイトル“EXIT”

i will be MY

i will be YOU

tell me why

tell me why

tell me why

あの時あの日あの場所で

似たような光浴びたんだ

街のジゴロがそう言うぜ

ギャランティーBUY BUY BUY

殺しの文句は、I Miss you

高いバリアはNo More cry

君とならはじめられるさ

道なき道を駆けてゆこう

愛がっちゃドリーム

You あ マインド

宇宙(そら)をつかもう

Get it On

tell me why

tell me why tell me why

その日その時その場所で

もう一人の香りが囁いた

空(くう)の天気が占うのは

スコール ライ ライ ライ

晴れの確率は、君の文句しだいさ

高いバリアはNo More cry

君となら抜け出せるさ

光の先にある闇さえも

愛がっちゃドリーム

You あ マインド

未来をつかもう

Get out

Get out

Get out

さて、これが物になるのかどうかこれからが勝負だ。


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February 12, 2007

On My Load 第45話


朝日を浴びながら、自転車で二人街中を駆けぬける。

久しぶりに、青空と澄んだ空気を思いっきり吸いながら、

童心にかえったように

自転車のベルをチャリンチャリン鳴らしながら、

スタジオまで泳いでいるかのようにとても

軽くスイスイ足がはこんだ。

名無しの彼女も笑みをうっすら浮かべながら、

鼻歌を口ずさんでいた。

春の風が吹き始めた頃でもあった。

スタジオに着くとあたしみんなに謝ってくる。

そう一言口走るとすぐに、ドアの奥に消えていった。

僕はしばし空を見上げながら、

ふぅーと大きな深呼吸をした。

それはまるで今までの閉塞感を打破するべく、

決心した瞬間でもあった。

名無しを守っていこう、そして、

必ず日の当たる場所に立たせてあげるのだと。

つまらない根性は捨てよう。

先にあるものがなんだろうが、

君を信じなくて僕の人生は無いのだと。

お互い欠けたピースの穴が埋まる一欠片なのだと、

手放しちゃいけない存在。

君が僕で、僕が君の太陽であり、

月でもあるのだと。ヒートなにやっているの・・・

マキが呼んでいる。さあいくか。


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February 11, 2007

On My Load 第44話


二人は朝まで話し合った。

こんなにお互いの事について、

話し合うことが今まであっただろうか。

名無しの事をある種、かわいそうな子として、

見てきた自分が、間違っていたというか、

自分の感覚の狭さに嫌気が刺すと同時に、

人それぞれの人生と価値観、

単純に尺度だけではかれない、

人の心は、深海よりも深くて、青空のさきよりも、

遠い神のみぞ知る領域なのだと、

それを埋めるべく人には言葉が有り、

考える頭脳が備わっているのだと。

でも、それも心の気持ちを補完するには足りない。

触れ合う事で動物的官能がエクスタシーを満足させる。

その二つがバランスよくいかないと人間はストレスで爆発する。

名無しの気持ちも痛いほど分かったし、

僕も自分に素直じゃあなかったんだと。

もう少しで、大切なものをなくすところだった。

だからごめん。

今はそれしか言えないけど、そばに居るから。

頼ってくれ。精一杯の気持ちだった。

木漏れ日から、朝日が昇りはじめた。

二人であの所まで、上り詰めようね。

とかたい握手をして、誓い合った二人がそこにはいた。


20:08:03 | t-komaro | | DISALLOWED (TrackBack) TrackBacks

February 10, 2007

On My Load 第43話


その夜は、みんな仕事を切り上げて、就寝についた。

はずだった。マキが、ヒート大変よ。

午前一時を回りかけた頃、僕の部屋に飛び込んできた。

どうしたんだい。機材がトラブッタのかまた。

マキがなにのんびりこんとしているのよ。

名無しさんが、居ないのよ。バックも消えているのよ。

そりゃ大変だ。

いいかい、マキ朝になるまでに僕から連絡なかったら、

みんなに知らせてくれ。

このプロジェクトは内密なんだから、

あまり大げさに動き回りたくないし、

僕には、心当たりがあるから。そう告げると、

僕は、ジャージ姿ひとつで、

ある場所へちゃりんこを走らせていた。ある場所とは、

名無しと初めて夜をあかした、公園である。

きっと名無しはそこにいる。三十分ほど走っただろうか、

目的地の公園へついた。

僕は、ブランコのある方へ近づくと、

女の人の人影が、うっすら見えてきた。名無しだ。

僕は、怒るどころか名無しの前に立ち

うずくまっている名無しの顔までしゃがんで、

顔を合わせた。やっと何時もの君が覗けたね。

と僕が小声でいうと、あたし、みんなの為に、

何よりヒートの為にがんばんなくちゃ・・・・と

期待が重荷になって、つい後戻りできなくて、

プレッシャーを打ち消そう打ち消そうと思えば思うほど、

苦しくて、、、、ごめんなさい。ばかだなぁ。

苦しかったら、素直に苦しいと言えばいいんだよ。

回りのみんなも承知で、

名無しを育てていこうとしているのだから、

はじめっから、完璧な人が居たら、それは神様だよ。

でも、名無しは神様になる素質は有ると僕は信じているよ。

そうだ、二人っきりになりたかったら、

僕の携帯に、Z―5とメールしてくれれば、

その日の夜は、空けるようにするから、大丈夫かい。

こくりと名無しはうなずくと、ちょっと待っててね。

ヒートは携帯を持ち出すと、マキに連絡のメールを打った。

名無しと一緒にいるから、朝までには戻るから。

と打つとさーっと携帯の電源をオフにして、

今夜は、僕に甘えていいよ。辛いこと全部話してくれよ。

名無しの肩に手を回してゆっくりと、

二人寄り添ってときより、

車の通る音しかしない空間の中、

久しぶりに二人、確かめ合った。


12:36:56 | t-komaro | | DISALLOWED (TrackBack) TrackBacks

February 09, 2007

On My Load 第42話


夜になっても、

名無しの歌とダンスのレッスンに余念がない。

さすがの、バンドメンバー達も、少しやすもや・・・。

とぐちをこぼす。

名無しは、自分の可能性がこんなものじゃないと、

自己のブレーキが外れたかのように、

体を痛めつけている。

ボイトレの先生もちょっといじめすぎね。

と僕(ヒート)に宥める様にと、視線をおくる。

僕は、名無しに、焦っても良いことないよ。

今の体調をキープするのもプロの仕事だから。

今日は、休んで。みんなも疲れているしね。

名無しは、みんなだらしないわね。

それでもプロなの!!。と声を荒げて言う。

私はもっともっと、旨くなりたいのよ。

じゃましないで・・・。いいかげんにしろよ。

と僕(ヒート)が大声で彼女の手を握りしめて、

静止させた。

君のワンマンショーじゃあないんだぞ。

少し上手になったくらいで、天狗になるなよ。

休まなくちゃ、大事な声帯がつぶれちゃうじゃないか。

そんなことも判らないのか。

君一人で動くんじゃなくて、

チーム全員で動いているんだぞ!!

名無しは目を真っ赤にしながら、

歯軋りしてくやしそうだった。

二人で日のあたる場所にいくんだろ。僕を信じて。

と彼女をそっと両手で、抱きしめた。

名無しは、僕の手の中で泣き崩れた。


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