May 08, 2007

On My Load 第52話


午後6時を回った頃、ヒートはスタジオに戻った。

マキに、みんなをロビーに集めてくれ。と頼むと、

神妙な顔をするマキを横目に、さあ、早く。

少しいらだった様子で語気を荒げていつもの

冷静なヒートではなかった。

ダンサーやバンドのメンバー・カメラマンをはじめ、

全部のスタッフがあつまった。

名無しがどうかしたのと、ヒートに話かけると、

すぐに伝わる事だから、僕の口から先に言っときます。

このプロジェクトリーダーを降りました。

代わりに、アンドリュー氏がトータルプランニングをして、

僕はサブで、サポート件、プランナー代理として、

このプロジェクトのアイデアを出す事に、

話をつけてきました。無論、これは内々の話で、

架空のプロデューサー『R&H』という名で

このプロジェクトは進みます。

皆様には、突然の話で、申し訳ありませんが、

よくよく考えに考え抜いた、結論なので、

それだけがいいたくて、皆様、済みませんでした。

とふかぶかと頭を下げると、マキがなによそれ、

兄貴は負け犬なの。と罵声を浴びせると、

僕は約束したんだよ。

名無しを『日のあたる場所に上げることを』

その為なら、自分のちっぽけなプライドや根性より、

現実感を優先させたのだよ。

マキは若すぎて分からないかもしれないけれど、

オトナの社会で上に立つには、

正論ばかりでは、駄目なんだよ。

話はそれだけだからと、

ヒートは自分の部屋へ、消えていった。


19:37:17 | t-komaro | | DISALLOWED (TrackBack) TrackBacks