February 10, 2007

On My Load 第43話


その夜は、みんな仕事を切り上げて、就寝についた。

はずだった。マキが、ヒート大変よ。

午前一時を回りかけた頃、僕の部屋に飛び込んできた。

どうしたんだい。機材がトラブッタのかまた。

マキがなにのんびりこんとしているのよ。

名無しさんが、居ないのよ。バックも消えているのよ。

そりゃ大変だ。

いいかい、マキ朝になるまでに僕から連絡なかったら、

みんなに知らせてくれ。

このプロジェクトは内密なんだから、

あまり大げさに動き回りたくないし、

僕には、心当たりがあるから。そう告げると、

僕は、ジャージ姿ひとつで、

ある場所へちゃりんこを走らせていた。ある場所とは、

名無しと初めて夜をあかした、公園である。

きっと名無しはそこにいる。三十分ほど走っただろうか、

目的地の公園へついた。

僕は、ブランコのある方へ近づくと、

女の人の人影が、うっすら見えてきた。名無しだ。

僕は、怒るどころか名無しの前に立ち

うずくまっている名無しの顔までしゃがんで、

顔を合わせた。やっと何時もの君が覗けたね。

と僕が小声でいうと、あたし、みんなの為に、

何よりヒートの為にがんばんなくちゃ・・・・と

期待が重荷になって、つい後戻りできなくて、

プレッシャーを打ち消そう打ち消そうと思えば思うほど、

苦しくて、、、、ごめんなさい。ばかだなぁ。

苦しかったら、素直に苦しいと言えばいいんだよ。

回りのみんなも承知で、

名無しを育てていこうとしているのだから、

はじめっから、完璧な人が居たら、それは神様だよ。

でも、名無しは神様になる素質は有ると僕は信じているよ。

そうだ、二人っきりになりたかったら、

僕の携帯に、Z―5とメールしてくれれば、

その日の夜は、空けるようにするから、大丈夫かい。

こくりと名無しはうなずくと、ちょっと待っててね。

ヒートは携帯を持ち出すと、マキに連絡のメールを打った。

名無しと一緒にいるから、朝までには戻るから。

と打つとさーっと携帯の電源をオフにして、

今夜は、僕に甘えていいよ。辛いこと全部話してくれよ。

名無しの肩に手を回してゆっくりと、

二人寄り添ってときより、

車の通る音しかしない空間の中、

久しぶりに二人、確かめ合った。


12:36:56 | t-komaro | | DISALLOWED (TrackBack) TrackBacks