January 27, 2007

On My Load 第29話


電車を乗り継ぎ、上野駅に到着する。

名無しの彼女の眼差しは、

純真無垢な少女の時代に逆回転したかのように、

動物園のゲートを通りぬけると、

一目散に、ある動物の前で体を止めた。

僕がどうしたの・・・・と聞くと、

唯一家族で一緒に見たのがこのキリンさんだったのよ。

彼女はまるで自分がキリンになったかのように、

首をにゅうううと伸ばしながらキリンの顔を

シミジミト覗いてしばし想いにふけっていた。

ねえ、ヒート。

あたしをキリンさんのように

地上のみんなを上から覗けるように夢をかなえてね。

約束よ。と言うと小指をスーとさしだして

ヒートもとせがむ顔に、うん。

と僕も小指をさしだして、

ゆびきりげんまんうそついたらはりせんぼんのーまっす。

ゆびきった!!!

これでヒートは私と契約したのよ。

じゃあ僕も、名無しの君に約束の契約をするよ。

君の夢が実現したら、君の小指じゃなくて、

薬指に僕からのプレゼントをはめて欲しいんだけれど、、、

ファイナルアンサー。・・・・

名無しの彼女はコクリとうなずいた。

閉園時間のアナウンスが流れる中、二人の心の波動は、

打てば響く音叉のように、共鳴しあって

いつのまにか、指と指がさぐるように絡み合って、

情熱の愛撫を指先で感じあっていた。

夕日の日差しが欲情する顔をさらに赤く染めこんでいた。


20:07:26 | t-komaro | | DISALLOWED (TrackBack) TrackBacks