January 23, 2007

On My Load 第25話


僕ら三人は、六本木ヒルズの高層階にある、

東京を一望できるロケーションの会議室に通された。

そこには、

ゼネラルプロデューサーのアンドリューをはじめ、

今回のパリコレプロジェクトの主要参謀が雁首ならべた

中心に松村氏が鎮座していた。

松村氏がどうやらそろったみたいだね。

みな席に着きたまえ。紹介しよう。

今回のプロジェクトのメインの二人を。

彼女の名前が呼ばれた。遅ればせながら、

初めて彼女の本名を耳で聞いた。

そして、僕が呼ばれた。

今回のプロジェクトは単なるファッションショーの

枠を超えて、グローバル化、

ボーダレス化する社会のなか、

異種産業とM&Aすることにより、

我が企業のさらなるシナジー効果を期待するとともに、

二人のユニットを世に出すことで、

我が社の製品をティーンエイジャーから、

ナイスミドルまで、幅広く顧客層の取り込みと、

新しいブランドの新開発、

そして、ファッションにとどまらず、

キャラクターライセンス事業をはじめ、

彼女のサクセスストーリーの映像化及び、出版。

これを機会に、新規オーデションの展開することなど、

このプロジェクトが成功するか否かで、

我が社の社運がかかっているものとみな肝を

すえて取り掛かってくれたまえよ。

名無しさんの経歴はマイナスではありませんか。

ある役員がいった。

松村氏は首を左右に振りながら、こういった。

君は何年開発部にいるのかね。

この腐葉土化した日本社会では

『リスキー』じゃなくちゃ肥えた国民を

納得する者などいないのだよ。

君はプロジェクトから外れたまえ。

古いしがらみに囚われている考えの者は

この場から消えてくれ。

松村氏の野望のデカサに正直びっくりしたのと

彼女との間はどうなってしまうんだろうと、

大きな渦にのみこまれてしまった。


22:21:29 | t-komaro | | DISALLOWED (TrackBack) TrackBacks