August 17, 2007

On My Load 第60話


ヒートは正直なところ悩んでいた。

名無しを日の当たる場所へ連れて行くことには

異論は無いどころか、

君のためならどんな協力でも惜しまない覚悟はある。

が、しかし名無しが日の当たる場所へ

出ることすなわち、雲の上へ行くこと。

その世界では、次々と勝ち組の名のもとに

人生が回ろうとしているのに、

果たして一時期の感情だけで

名無しの足を引っ張るくらいなら、

このプロジェクトが成功したら、身を引いて、

御曹司に名無しを委ねたほうが、

結果として、名無しには幸福になるのではと、

胸の内とは反対に理性回路の左脳が、

現実世界の方程式の解に無理やり自分をあてはめて、

考えている自分が嫌になる。

僕は名無しを抱く事は出来ない。

もしそれを実行してしまうと、

今までの名無しのため・・・いや、

自分が好きな人を幸せにするため。

初めて自分が人の為に動いている

押さえられない衝動・・・感情・・・

それとも欲望・・・。

僕はもしかしたら大きな勘違いを

しているのかもしれないことに、気ずかずにいた。


19:09:35 | t-komaro | | DISALLOWED (TrackBack) TrackBacks